「化学は好きだけど、どんなことを専門にしたいかまだわからない」。そんな迷える大学受験生にもおすすめなのが、化学生命工学部の化学・物質工学科です。どんな特色があり、どんなところが魅力なのか、化学・物質工学科の川﨑英也先生にお話をうかがいました。
一つの学科で「化学・バイオ・マテリアル」を網羅
「『化学』というと、試験管を振って実験をしているようなイメージがあるかもしれませんが、それだけではありません。物質の構造や性質を物理や数学を使って解き明かしたり、新しい物質をつくるための技術を開発したり、『ものづくり』に必要なさまざまな知識や技術も学びます」
そんな化学系の学科のなかで、化学・物質工学科ならではの特長は、従来の化学の分野にとどまらない学問の広さだと、川﨑先生は語ります。
「化学を応用して実社会に役立てる「応用化学」だけでなく、がんの部位に薬を届けるポリマーや医療材料の研究などに取り組む「バイオ分子化学」分野、車や飛行機のボディに使う金属やセラミックス材料などの研究などに取り組む「マテリアル科学」分野という、他の大学ではそれぞれ別の学科として成立するような分野までもカバーしています。つまり、生体のように柔らかいものから、金属のように硬いものまで幅広い分野を学べるのが本学科の特長となっています」
1つの学科で、それだけ幅広い分野を学べるメリットは何なのでしょうか?
「入学時点では特定の専門分野に属することなく、さまざまな分野を横断的に学びながらその専門分野(マテリアル科学、応用化学、バイオ分子化学)の特色を理解し、自分の興味・関心と照らし合わせたうえで、2年次で進むべき専門分野を決定し、その学びを探求することができます。4年次から研究室に配属されて研究に取り組みますが、多くの研究室が複数コースから学生を受け入れているので、将来活躍する分野も見据えながら、分野の垣根を超えて研究対象を選ぶことができます」
確かに、さまざまな分野を横断的に学びながら、自分の特性や志望をじっくり見極め、それから専門分野を決められるというのは、学生にとって大きな魅力といえそうです。
専門的な知識と技術を深められる3つのコース
化学の幅広い分野を学べるのが化学・物質工学科の魅力ですが、さらに、その中から学びたい分野を効率的に見つけられるように3つのコースが用意されています。2年次に分属されるという各コースの概要や特長を、川﨑先生に教えてもらいました。
まず、「マテリアル科学コース」とは、どのようなコースなのでしょうか?
「このコースは、機能材料や構造材料の総称である「マテリアル」を核とした学問を体系的に学べます。「もの」の機能を最大限に引き出したり、新たな機能を与えたりすることで、循環型社会に求められる環境負荷の小さい材料などの研究・開発をめざしています。金属をはじめ、半導体やセンサーの材料となるセラミックスなど、硬い材料について深く学べます。社会や暮らしに不可欠であり、現代の利便性や快適性、安全性を支える「材料」への社会の期待は大きく、材料研究は日々進化しています。材料について専門的に学べる教育プログラムを用意しているのは、関関同立では本学だけです」
続いて「応用化学コース」について教えてください。
「応用化学コースでは、化学の基礎と応用を偏りなく体系的に学び、社会に望まれる物質を自在に設計する能力や、物質を分子・分子集合体レベルで解析・理解する能力を身につけることを目標としています。汎用性と専門性のバランスがとれた「応化の学び」は、医薬・創薬、電池・エネルギー、環境関連、機能性高分子材料、AI/IT時代を支えるエレクトロニクスなど、幅広い分野の研究で活躍できます」
最後に「バイオ分子化学コース」の概要と特長を聞かせてください。
「ここは、化学をツールとして、タンパク質、核酸、多糖などの生体分子の構造や機能を学び、それらに基づく新しいサイエンスとテクノロジーで、医療や環境などの先端領域に貢献する能力を身につけることを目標としたコースです。化学を用いて生体由来分子に新しい機能を導入したり、さらには生体由来分子を超える新しい分子を創り出したりする方法論の修得もめざしています。ドラックデリバリー、癌治療、人工臓器のための体への負担の少ない素材開発、再生医療技術など、医療技術の進歩を支える技術開発にも挑戦しています」
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バラエティに富んだ研究に取り組む先生陣
「化学・バイオ・マテリアル」を含む幅広い分野を支えるのが、32の研究室に所属する40名の専任教員です。ぐにゃりと曲げられるディスプレイ、皮膚に貼りつけられるセンサー、宇宙空間で利用できる関大発の次世代電池、生分解性インジェクタブルポリマーで実現する内視鏡下で使える癒着防止剤といったように、化学の可能性を広げる研究にまい進されています。そんな先生方の魅力や側面に迫る動画は、こちらからご覧いただけます。
研究紹介
あらゆる“環境”に役立つ結晶とその設計
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日本国内でのMg金属の製造を目指して
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プラズマを利用した材料開発・表面改質研究の紹介
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発泡スチロールを使った鋳造法
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自然に学ぶ無機材料合成
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セラミック材料学研究室(化学生命工学部 化学・物質工学科)
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次世代エネルギーサイクル”水素”を回せ!
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高分子を用いた人工光合成システムの構築
研究紹介
高性能な電池化学の魅力 〜カーボンニュートラルや航空・宇宙課題も解決〜
研究紹介
新しい技術を生み出すナノサイズの粒子 ~ナノ粒子の何がすごいのか?~
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有機化学を使った”ものづくり”
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合成触媒におけるレアメタルリソースイノベーションの取り組み
研究紹介
有機化学反応研究室で行っていること
研究紹介
近赤外吸収材料への誘い
研究紹介
特殊構造高分子を合成し、活躍させ、機能性材料に変身させる!
研究紹介
1分でわかる私の研究:自然に学び,自然に優しい高分子をつくる
研究紹介
体中にある分子を用いた、材料研究
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体の中で分解するポリマーで医療に貢献する
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ペプチドを用いて細胞の住環境を整備する!
研究紹介
高分子化学の力で医療に挑戦している河村先生に研究の話を聞きました。
研究紹介
化学・物質工学科 医工学材料研究室の取り組み
研究紹介
DNAを素材に使う分子のものづくり
研究紹介
研究紹介:分子認識と分子間力(非共有結合性相互作用)
幅広い業界で活躍する卒業・修了生たち
大学院への進学率が高いのも特長の一つだと、川﨑先生はいいます。
「5割程度の学生が本学の大学院へ進学しています。それだけ化学・物質工学科の研究に魅力があるということではないでしょうか」
研究分野の多様さが如実に表れているのが、卒業生・修了生の就職先です。総合化学、自動車、半導体・電子部品、健康・医療、建築・住宅というように、活躍の場は多岐にわたっています。化学・物質工学科は、さまざまな研究に取り組む先生たちに出会うことで、化学の広さ、おもしろさを知り、自分の将来を描くことができる学科なのです。
化学・物質工学科紹介 就職・奨学金編
学科紹介 就職・奨学金編
公開日:2021年11月04日
※こちらの動画は、2021年度現在の情報です。
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